検証後の成果について
これを無くしてデザインスプリントは成立しません。
仮説とは、「フェーズ2:定義する」で作ったサービス・ブループリント(こうあって欲しいという商品の消費過程やサービスの利用順など)であり、これを元にして作られるプロトタイプ(プロダクトの試作品)のことです。
顧客インタビューの結果が想定通りの反応の場合は、仮説が正しかったと判断できます。
逆に顧客インタビューの結果が想定とは異なる反応だった場合は、仮説が間違っていた、ということになります。
これまで行ったプロジェクトの成果の一例をご紹介すると、
男性の毎日の着合わせの悩みを解決するサービスを考案したが、インタビューの結果はお金を払ってまでも実現する価値を感じさせるものでないことが明らかになったため、そもそもサービスが成立しないと判断した。
想定している新しい市場への参入がうまく行くかそうではないかを市場投入する前に判断する目的で実施。
想定している顧客セグメントに対して仮説を踏まえてインタビューを行った結果、仮説がほぼ正しいことが明らかになったため、これを調査報告書にして市場投入にGoサインが出ることになった。
既存サービスにどの機能をどの順で追加したら良いかを検証するためにデザインスプリントを実施。
「フェーズ2:定義する」でto beでのサービス・ブループリントをチーム全員の意見を短期間で集め、「フェーズ5:試作する」で追加機能の試作品を7つ作った。
インタビューの結果、7つのうち4つの機能が顧客にとって価値がない、必要ない機能だということが明らかになり、残り3つを半年かけて順に開発することに決まった。
この企業では、このデザインスプリントによって無駄な開発工数を大幅に削減することができ、また機会損失を防ぐこともできた。
これらの判断(成果)を得るのに、わずか3日しかかかっていないことに、ご注目ください。プロダクトの販売前にこういったことが明確に分かるということがどれだけ価値のあることか、お分かりいただけるでしょう。
多くのプロジェクトでは、意見がなかなかまとまらずに会議が延々と続くのに対し、デザインスプリントを実施すると、極めて短い期間にスッとチームの意見がまとめることができるのです。
これらが実現できる理由は、洗練されたツールがあるおかげです。
【クリエイションブック】
「クリエイションブック」はA3サイズのブックレットです。デザインスプリントの個人ワークを全てこれに書き込むことで完結させることができます。「フェーズ6:検証する」のパートでは、成果を出すための顧客インタビューシナリオを雛形から30分程度で作ることができ、そのシナリオに沿ってインタビューをすることでざっ線をせずに効率的に間違いなくインタビューをすることができます。
また、インタビューのコメントを必要な要素ごとに箇条書きに書き出すシートも人数分用意されているので、客観的な定性データとして活用することができます。
【クリエイションシート】
「クリエイションシート」は、ホワイトボードの代わりになる841 × 1189mm(A0)の大判シートです。[1]から[7]まであり、全てのグループワークをここに記録することができ、ホワイトボードを一切使わずに完結させることができます。成果物として非常に分かりやすく、新聞のように織畳んで保存しておくことで、いつでも見返すことができます。
これらの結果が、プロジェクトメンバー全員の意見一致のもとに短期間で決まる、ということがデザインスプリントの最大のベネフィットです。