「売れるサービス」を実現する2つの重要ポイント

売れるサービス創出ファシリテーターの夏本健司です。これから「売れるサービス」の作り方について世界一わかりやすく解説をします。

新サービス開発・新事業開発にこれから着手する方も、現在進行中の方にも役に立つ内容となっていますので、ぜひ一言一句、読み飛ばさずに最後までお読みください。

「売れるサービス」を実現するために最初に必要なことは2つだけ

「売れるサービス」には、「市場性」だとか「新規性」など、多くのことを考えなければいけないから、大変!と思っていませんか?実は、必要なことは2つだけです。

  • 1.お客様の悩みや困りごとをシンプルな文章で言語化すること【顧客課題】
  • 2.その解決策をシンプルな文章で言語化すること【ソリューションコンセプト】

この2つのセットが「売れるサービス」を考えるためのスタート地点だからからです。

一般的には、サービス・事業の初期段階では、ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスを描くことが必要、と言われていますが、何もない段階、或いはビジネスアイデアがまだ「ほんわか」している状態で、いきなり描き出すには、時間と労力がかかり過ぎます。

私は多くの新事業開発の現場を見てきて、ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバス作成に多くの時間と労力を使うより、最低限必要なこの2つだけ集中的に言語化した方が生産激だと気が付きました。以下に順番ににその理由を解説してきます。

【顧客課題】を見つけるステップ

【顧客課題】とは、簡単に言うと、お客様や特定の関係者が心に抱いている悩みや困りごとです。もう少し専門的に言い替えるならば「日常の「不」」と「成し遂げたいこと」とのギャップです。

【顧客課題】を見つけるステップを解説します。まずお客様や特定の関係者を連想します。これは、既存の事業領域だったり、新たに開拓しようとしている業界や業種の消費者だったり、BtoBであれば、その業界に属する企業の担当者だったりします。

次に、その人の「日常の「不」」と「成し遂げたいこと」を言語化します。つまり、その人たちが心に抱いている悩みや困りごとです。ここで注意すべき点は、必ず「人」を対象にすることです。しばしば企業そのものを対象にする人がいますが、これは間違いで、BtoBであれば、その企業の担当者、関係者、つまり「人」を対象にしましょう。

次に「ギャップ」を見つけます。人は「日常の「不」」と「成し遂げたいこと」の間で何らかの行動をしたり感情を持ったりします。それをできるだけシンプルな文章で言語化します。多くの場合、複数の要素や場面があるはずなので、対象の人に憑依して、できるだけたくさんピックアップしてください。

【ソリューションコンセプト】を見つけるステップ

【ソリューションコンセプト】とは、「ソリューション」=顧客課題の解決策の「コンセプト」です。

いわゆる「アイデア」に当たる部分ですが、良い【ソリューションコンセプト】を見つけるポイントは、細かいレベルまで具体的にしないことです。

解決策の方向性、つまり「コンセプト」のレベルに留めておくことで、最も見つけやすい例は、顧客が、現在課題を解決する時に使っているサービスや製品の問題点・課題を解決する方法を、現在存在しない方法で解決する方法を言語化することです。

  • イ.現在使っているサービスではできないことができる
  • ロ.現在使っているサービスより性能やサービス速度が早い
  • ハ.現在使っているサービスより簡単(代替サービスと性能やサービス内容が同じかそれ以上で)
  • 二.現在使っているサービスより値段が安い(現在使っているサービスと性能やサービス内容が同じかそれ以上で)
  • ホ.現在使っているサービスよりクオリティが高い・性能が良い
  • へ.現在使っているサービスより癒される又はリラックスできる
  • ト.現在使っているサービスとは違う共通の仲間ができる
  • チ.現在使っているサービスより周りから羨ましがられる・良い気分になれる
  • リ.現在使っているサービスよりデザイン性(美観・質感)が高い
  • ヌ.現在使っているサービスより達成感がある(満足度が高い)
  • ル.現在使っているサービスでは味わえない楽しさが味わえる

※この中のいずれか又は複数の価値を実現している

他にも【ソリューションコンセプト】を見つける方法は多数ありますが、詳しく知りたい方は、このページの下部から資料請求をしてください。

【図1】は、英語学習或いはプレゼンテーションの分野でのサービスアイデアの【顧客課題】と【ソリューションコンセプト】を言語化した例です。

サービスアイデアシート部分
【図1】:【顧客課題】と【ソリューションコンセプト】を言語化

さらにアイデアを広げるための3つ

「売れるサービス」を作るために必要なのは、【顧客課題】と【ソリューションコンセプト】の2つだと言いましたが、「売れるサービス」の精度を高めるためには、【顧客属性】、【現在使っているサービス】、そして【サービスアイデア名】が言語化されていると良いです。

【顧客属性】

  • 顧客として想定しているお客様や関係者の具体的な特徴を言語化します。
  • 実在している特定の人を想像し、その人になり切って言語化するのがポイント。
  • 仮名、年齢、職業、居住地、家族構成、趣味、大事にしている価値観をイメージして言語化します。
  • よく「ペルソナ」が重要と言いますが、この段階で上記以外の詳細な顧客情報は必要ありません。また「ペルソナ」は一般的に架空の人物を想定するので、新サービス・新事業開発には適していません。

【現在使っているサービス】

  • 顧客が課題解決をする時に使っているサービスや製品名を具体的に言語化します。
  • 新しく作ろうとしているサービスや事業の競合という意味ではありません。
  • 顧客が課題解決をする時に何もサービス・製品を使わずにあきらめている状態も言語化することが大事です。

【サービスアイデア名】

  • 顧客課題の解決策に当たるサービスアイデアの名前を思いついたら、必ず記載するようにします。
  • 現時点で思いつく名前で構いません。

以上、簡単ですが「売れるサービス」を実現するためのスタート地点についてお伝えしました。新しいサービス・事業を創り出すことは、頭の中の考えを言語化する作業でもあります。自分の言葉で言語化してみてください。

サービスアイデアは1枚で視覚化すること

ここまで解説してきたサービスアイデアは、一目でパッと見えるようにシート状に1枚で視覚化することが大事です。

【図2】は、英語学習或いはプレゼンテーションの分野でのサービスアイデアを言語化したものです。

サービスアイデアシート全体
【図2】:サービスアイデア全体

ワードなどのドキュメントにまとめておいても悪くはないですが、文章が長くなる傾向があるので、視認性は薄れます。

1枚で視覚化する狙いは、文字数をできるだけ少なくして、シンプルな文章にすることです。つまり言葉を選んで、中学生にでも理解できるような分かりやすい文章にすることなのです。

こうすることで、文章を読んだ人もアイデアの本質が伝わりやすくなりますし、あなたが誰かに説明する時も、短い言葉で説明することになるので、より相手に伝わりやすくなるからです。

ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスを最初に描かない理由

ここからは、開発の中級或いは上級者向けの話になります。初級者の方は、参考程度に認識してください。

冒頭にも言いましたが、ビジネスアイデアがぼんやりしている最初からビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスを描くのをおすすめしない理由は、描くのに時間がかかるからです。

おそらくチームで描こうとすると、「ああでもない」「こうでもない」と言いながら、書いては消し、また書いては考え、という作業をくり返し、2,3日から、長いと数週間もかかってしまうのではないでしょうか。

そして、挙句の果てに「もう適当でいいや」と、いい加減な文章になってしまいがちです。

ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスを描く作業は、サービスアイデアは1枚の書類で完結させることですが、重要なのは、アイデアをできるだけ正確に文書にすること、人が理解できるような文字にして記録することです(弊社では「言語化」と言っています)から、適当な、それらしい文章で終わらせるのでは、言語化する意味がありません。

それなら、やらない方が良いです。はっきり言うと時間のムダだし、作業効率が悪いです。

ですから、弊社では、ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスを描くのは、「サービスアイデアシート」ができてからで良いと提言しています。

最初にする顧客インタビューは、プロブレムインタビューになるので、この段階では、ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスのすべての情報は必要なく、「サービスアイデアシート」にしっかり言語化された情報があれば十分だからです。

時間をかけてビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスを作るより、早い段階でプロブレムインタビューをすることの方が顧客発見」のプロセスでは、よほど重要な作業です。

執筆者

SPRINTマスター夏本 健司

SPRINTマスター

夏本 健司

スプリントジャパン株式会社 代表取締役。東京藝術大学美術学部卒業後、テレビ朝日グループ、電通グループを経て2002年に独立。

20年間UIデザイナー業務を行ったのち、2016年よりデザインスプリントのテストマーケティングとメソッドのローカライズ化を始める。

主な実績
1998年:保険業界の新規ビジネスにて5億円の出資を成功させる
2000年:建築業界の新規ビジネスにてゼロから月商4000万円の事業へ
2002年:金融業界の新規ビジネスにて会員数を2万人から20万人へ成長させる
2004年:教育事業の立ち上げにて52のカリキュラム構築を担当
2005年:健康分野の新規ビジネスにて3ヶ月で損益分岐を達成
2016年:デザインスプリントをサービス化を開始

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